パルクールとは

 

パルクールとはフランスを発祥とするトレーニング文化です。特別な道具を利用することなく、人間が本来持っている移動動作を洗練、発展させる過程を体系的、学問的に技術として実践していきます。

 

昨今の認知度向上による一般的、典型的なイメージである高所での疾走、跳躍、ストリートにおけるアクロバティックな技の数々は、スリルを求め危険を楽しむための無謀な挑戦などではなく、身体操作と移動技術の段階的追求の結果であり、実践者の視点からすると乳児が歩行技術を獲得する過程と同列高位に位置し、自由に自身の体を操作し自分が心身ともに望む場所を目指すのと同等の好奇心と努力を継続し続けた結果です。

 

発祥、歴史共に「競技」「スポーツ」とは一線を画している総合文化であるパルクールには競争、勝敗、順位に執われることなく自分自身と向き合い、成長する時間を作り出せる特性があり、先進国では公的な福祉の一環として教育、介護などの分野でもパルクールが積極的に利用されています。そこでは現状の自分と目指す自分の双方に向き合い、目的に向けた段階的課題設定と試行錯誤という全ての人間に対応できるパルクールの自由度、個別性、自主性が既存の教育、福祉には無い視点と実践力を発揮しています。

 

実践者の高度に追求された身体操作、移動技術はエンターテイメントの世界においてもその個性、芸術性に注目が集まり、国内では特に映像作品の一部にて人々の目に触れることで認知度を高めてきた歴史があります。

 

勝利を最大、最高、唯一の目的としない自由な文化であるパルクールは自由な発想と個性を尊び、歴史と先人に敬意を払うことと共に新たな技術、視点、実践法の創出や外部文化の取り込みなど柔軟な発展を続けています。これらは身体の操作、鍛錬から発展し、人生哲学の醸成と自己表現手段の獲得、拡大にも寄与するものであり、服飾、映像作品、教育の現場で活躍する実践者も輩出しています。